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PMCF(市販後クリニカルフォローアップ)―EU MDRにおける不可欠な要素

EU MDRの不可欠な要素であるPMCFはなぜ重要なのか? 

市販後クリニカルフォローアップ (PMCF) は、CEマーキング取得後に実施が求められる重要な要求事項です。PMCFは、医療機器の性能と安全性に関する主張を担保するために実際の臨床現場での臨床データを収集するものです。   

臨床評価を行う義務の一つとして、医療機器製造メーカーは、製品のライフサイクルを通じて、積極的に臨床データを更新し、リスク・ベネフィット比の評価を更新していかなければなりません。 

是非、本記事をお読みいただき、PMCFの実施方法、目的、およびPMCFが患者、医療従事者、並びに医療機器メーカーにもたらすメリットについて学んでください。

PMCFスタディの目的とデザイン

PMCFのデザインにおいて繰り返し触れられるテーマの一つは、安全性と性能を確認するうえでの長期のフォローアップです。これは、CEマーキング取得時点では、十分な期間の試験ができないからです。   

PMCFスタディを通して臨床データを更新していくことが医療機器のライフサイクルにおけるスタンダードとなっています。医療機器メーカーは経験豊かな臨床試験実施者に依頼して、様々な臨床試験を並行して実施することが求められています。こうし臨床スタディの準備とモニタリングのクオリティがPMCFスタディの成功に大きく影響しますので、戦略的に行なっていく必要があります。 

そこで、PMCFにおける臨床データ収集において、考慮すべき点として、以下のような点を考慮すべきです:

Materiovigilance(医療機器安全監視)の系統的レビュー

文献の更新:

  • 当該製品に関する文献
  • 競合品に関する文献
  • 代替治療に関する文献

クリニカル・モニタリングの一環として臨床データを積極的に収集する

PMCFスタディの目的とデザインは医療機器および既にある臨床データによって異なってきます。何年も市場で販売されている医療機器と最新の医療機器では、実施するクリニカルフォローアップは同じではありません。したがって、リスク分析および科学的な不確実性に基づいて、PMCFデザインを決める必要があります。

PMCFスタディClinical Follow-up studies 定期的なモニタリングが必要であり、クリニカルプロジェクトマネージャーとスタディの実施医師との頻繁な連絡が必要です。3か月ごと、場合によっては毎月の電話によるデータモニタリングを行うのが望ましいです。また、プロジェクトマネージャーまたはスポンサーが一年に一度は試験施設の訪問をするのが望ましいです。

必要な被験者数

市販後のクリニカルモニタリングにおける主たる目的は、医療機器の安全性を評価することであるため、必要な被験者数は、大抵の場合、ターゲットとするフォローアップ期間における介入の成功率の仮説を文献のデータと一貫した信頼区間(CI)で算出できる数となります。  

適切な数字を導き出すうえで重要な点は、仮説とスタディの臨床パラメータの精度のレベルを設定するうえで、文献の批評的評価を行うことです。

組入れ基準 

組入れ基準は、通常の臨床現場において当該医療機器の治療を受けるすべての患者を代表するサンプルを取り込むものである必要があります。 

したがって、取扱説明書に記載されている適応以外で医療機器を使用する患者は除外することができますが、当該医療機器の対象患者をできるだけ取り込めるよう、それ以外の除外基準を設けることは避けるべきです。

PMCFのフォローアップ期間 

欧州MDRによれば、市販後調査にて、製品のライフタイム期間全体を通じて、臨床データを更新しなければなりません。したがって、理論上、起こりうる有害事象は特定の限定期間のみにしか発生しないということが実証できない限り、スタディのフォローアップ期間は製品のライフタイムということになります。

評価基準の選定 

臨床データを更新し、性能と安全性の主張を確認するうえで、PMCFの評価基準としては以下のような項目を継続して評価する必要があるでしょう:  

  • 介入の成功率 
  • 関連する合併症の発生頻度(臨床的、生物学的、放射線学的、その他) 
  • 介入前と介入後の当該医療機器に関連する機能的なスコア 
  • QOLスコア

スコアは、回答に基づいて、患者の病理的、身体的機能、あるいはQOLの定量的評価を行うアンケートです。その定量的評価が認められるためには、スコアは、再現性とターゲット患者群での分布が担保できるよう、特定のスタディにおいて、検証されたものでなければなりません。

どんな場合に、PMCFスタディを行うべきか?  

医療機器の性質上、使用する身体部位、あるいはリスクの高い患者を対象とする理由で、患者に対して高いリスクのある医療機器はすべて、PMCFを実施しなければなりません。-up.  

PMCF実施が義務となる場合: 

  • 既存の臨床データが当該医療機器のライフタイムをカバーしていない場合 
  • CEマーキング取得の際に使用した臨床データが、試験が限定的なものであったため、対象患者全体に推定することができない場合 
  • 分析の中で、コントロールできていないクリニカルリスクが存在する場合. 

薬事的 側面

以下の2つのフレームワークが当てはまる:There are 2 applicable frameworks: 

  • カテゴリー3のヒトの臨床試験(追加のデータ収集が必要な際に、特別に追加したプロセシングやモニタリングを行わない通常の方法ですべて行う意図的ではない研究)
  • 施設の既存データベースを利用し、医療記録の臨床データをレトロスペクティブに収集するスタディ 

データ解析  

医療機器の状況によりますが、EU MDRはPSURを毎年もしくは二年ごとに更新することを義務付けています。そのため、要求されている頻度にしたがって、様々な評価項目、特に有害事象の発生頻度や必要であれば、機能的な結果などの定期的な統計解析を行う計画をする必要があります。 

PMCFによるデータ収集の目的 

医療機器のライフサイクルの中で、市販後クリニカルフォローアップ(PMCF)を実施することがスタンダードとなったため、医療機器メーカーは経験豊富な医師とともに複数のスタディを実施することが求められています。こうしたスタディを成功させるためには、その準備とモニタリングの質が極めて重要であるとともに戦略的にも重要となっています。

PMCFにおいて収集すべき臨床データとして考慮する必要があるものを幾つか以下に列挙します: 

  • 医療機器の安全性と性能のモニタリングと評価に関わる医療機器安全性監視(Materiovigilance)の系統的レビュー 
  • 文献の更新(当該製品だけでなく、競合品および代替治療に関しても) 
  • クリニカルモニタリングの一環として積極的に臨床データを収集する
  •  

PMCFのデータ収集方法  

データの収集方法は、スタディデザインと目的によって異なってきます。一般的なアプローチの一つは、プロスペクティブなデータ収集です。これは、あらかじめ期間を設定して系統的にデータを収集するものです。この方法は、フォローアップ訪問、患者との面談、あるいは遠隔モニタリングを通して、関連するデータを収集します。

別なアプローチとしては、レトロスペクティブにデータ解析を行うものです。これは、医療記録やレジストリなどの既存の臨床データのレビューを行なって、評価を行うものです。また、プロスペクティブ・スタディの補完にもなります。

この二つの方法を合わせて行うことにより、医療機器のライフタイムを通じた安全性と性能のより包括的な評価を行うことができます。様々なデータ収集方法を活用することで、医療機器メーカーは医療機器に関する、より深い情報を入手することができます。 

クリニカルデータマネジメント(CDM)担当者の役割は極めて重要です。CDMは収集データを伝えるとともに統計的な解釈を行う責任があります。CDMの専門知識と参画は、正確で信頼でき、かつ、解析可能なデータを収集することにより、PMCFスタディを成功に導くうえでとても重要です。

ECLEVARはPMCFにおいてどのようなサポートを提供するのか 

ECLEVARはEUおよび英国を中心にPMCFに必要なデータ収集のサポートおよび長期的なクリニカル戦略のサポートを提供いたします。 

弊社のチームは、MDRおよびPMCFに関する経験と知識の豊富なメンバーで構成されていますので、貴社のニーズに対して必要なサポートを的確に提供することができます。

リソース

– Guidance document Medical devices – Market surveillance – Post Market Clinical Follow-up studies – MEDDEV 2.12/2 rev.2
– 
MDCG 2020-13 Clinical evaluation assessment report template
– 
Regulation (EU) 2017/745 of the European parliament and of the council of 5 April 2017 on medical devices

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