医療機器やIVD機器の耐用年数期間を通じた安全性と性能を確認することであり、それには以下の事柄が含まれます:
過去に特定できていない未知の副作用の特定
特定された副作用と禁忌のモニタリング
新興リスクの特定と分析
合理的なベネフィット・リスクの継続的な受容の確保
体系的な誤使用あるいは適応外使用の可能性の特定
選択したPMCF活動を通じて得られたデータは、市販後調査 (PMS)および臨床評価報告書 (CER)/性能評価報告書 (PER)に反映されます。
市販後臨床フォローアップ (PMCF)計画には、一般的な活動と特定した活動の両方を含めるとともに、それらの活動の明確な目標も含める必要があります。どのようなデータを得たいですか?どのようなメソッドが適切なのか?
こうした質問に対する答えを得るには、PMCF活動の様々なオプションについて考える必要があります。
一般的なPMCF活動は基本的に「情報収集」が目的です。一般的な主観的なデータの場合が多く、製品の安全性と性能を証明する強固なエビデンスを提供するものではありません。一般的なPMCF活動は、特定のPMCF活動と組み合わせて行うべきです。
一般的なPMCF活動で用いるメソッドは情報源によって、バイアスやばらつきが生じやすいです。
主な課題:
文献レビュー:レビュー対象製品に関するデータが限定的である点、文献の質が低い点が課題となる。同等品の使用に関するデータやその同等品に関する文献を考慮に入れるべきでしょう。もし同等性を主張して申請した製品の場合、明確な同等性を示す必要があります。MDCG 2020-5を参照してください。よく分からない場合は、当社にお問い合わせください。
患者およびユーザーへのアクセス:患者や医療従事者のユーザーへにアクセスできますか?承諾書やデータ保護対策は講じていますか?
特定したメソッドは重要な特定のデータを取得するためにより具体的で必要に合わせたメソッドです。特定した活動は、より明確な目的、母集団、およびデータセットを設定します。うまく行えば、この特定した活動は、製品の安全性と性能を実証する生データを収集することができます。どのような活動を選択するにしても、PMCF計画には、その選択の明確な妥当性がなければなりません。
ランダム化比較試験
プロスペクティブ比較研究/市販前臨床調査の拡大
レトロスペクティブスタディ
システマティックレビューとメタアナリシス
観察研究
レジストリ研究
注:以下のような製品の場合、PMCFスタディは必須とみなされています:
同等製品としてCEマークを取得した製品
新規技術である製品
長期的な安全性と性能が不明な製品
高リスクの患者集団に使用される製品
PMCFスタディには定義されたプロトコルが必要です。最低限次の項目が設定されている必要があります:定義された母集団とサンプルサイズ、組入れ基準と除外基準、適切な目的とエンドポイントならびにフォローアップ。
倫理的承認および当局の承認が必要となる場合もあります。
PMCFスタディは、前臨床スタディと同様に、ISO 14155:2020で求められている基準に沿ったものでなければなりません。
課題:
不適切あるいは妥当性に欠けた設計
追加コストの発生
データ取得にかかる期間が長期となる
承認を得ること
レジストリ:レジストリは製品特定のレジストリまたは少し範囲を広げた製品タイプによるレジストリとすることができます。また、小規模の母集団、あるいは地域またはNational Joint Registryなどの国レベルのレジストリを使用することができます。
うまく設計され、うまく利用されたレジストリは、製品に関するすばらしい生データのデータソースとなり得ます。完全な分析を行うことで、製品の安全性と性能に関する科学的に有効なデータを構築することができる可能性があります。
課題:
設定と運用に多くのコストがかかる可能性があ離ます。
データ取得が限定的なる可能性:義務化することができないことが多いため、患者および医療従事者から情報を得ることが困難となる可能性があ離ます。
より大きな国/世界レベルのレジストリは、PMCFの目的に関して限られた関連データしか保持していない可能性があります。データの有用性に関して常に考慮する必要があります。
アンケート調査は融通が効きます。一般的な質問から高度に特定したものまで設計することができ、データ取得における様々なニーズに対応することができます。
一般的なアンケート調査は、エンドユーザーに製品とその使用に関して経験を思い出したもらう、レトロスペクティブな設計となることが多いです。
特定した調査は、患者レベルや症例を特定したものにすることができます。単回の調査にすることもできれば、機器の使用に関するフォローアップ(プロスペクティブ)質問を含む一連の調査にすることもできます。この調査は患者に直接行うか、患者記録を使用して医療従事者を通して行うこともできます。この種の活動を通して取得したデータは、通常、患者の転帰データや臨床適応データを通してレビュー対象の機器に関する臨床データを得ることができますので、より質の高いデータとなります。
また、患者調査は設計と実施が比較的容易に行えるものであると考えられています。
しかしながら、患者調査は適切に使用すべきであり、他のすべての活動と同様、それを実施することに関して、PMCF計画の中で妥当性を示す必要があります。
課題:
エンドユーザーへのアクセスー例えば、販売代理店を使っている場合などは、アクセスは限定的であったり、制限される可能性があります。
バイアスーアンケートの構造はバイアスを最小化するうえで重要です。医療従事者の主観的な回答が出てくることに、大きな懸念があります。
未回答ーアンケート調査は、わかりやすく、簡単に回答できるものである必要があります。アンケートの設問が長すぎたり、複雑すぎたり、関連性がなかったりすると、ユーザーは途中で嫌になるかもしれません。
曖昧な焦点ーアンケート調査は、方向性が明確でなければなりません。もし、目的が多すぎると、アンケート調査の内容が明瞭でなくなり、回収したデータが偏ってしまう可能性が生じます。
GDPR(一般データ保護規則)の遵守が不可欠
倫理審査と承認が必要な場合があります。国によって要求事項が異なる場合があります。
研究者主導のスタディ:スタディの設計と実施のほとんどの部分が第三者によって行われるため、もう一つの有用なツールと考えられています。うまく設計されたものであれば、もちろん、安全性と性能に関するデータを取得するうえで有用な方法です。しかしながら、研究の実施者とデータの所有者が第三者となるため、課題も生じます。
課題:
研究の実施やデータに関してのコントロールが限定的になります。
積極的に関与する場合、余分なコストがかかる可能性があります。
安全性と性能に関して、事実を反映する真のデータが取得できる保証は少なくなります。
MDR Annex XIV Part B
6.2. PMCF計画には少なくとも以下の項目を含めなければなりません:
適用されるPMCFの一般的な方法と手順。例えば、臨床経験の収集、ユーザーからのフィードバック、科学文献やその他の臨床データソースのスクリーニング等。
適用されるPMCFの特定の方法と手順。例えば、適切な登録またはPMCFスタディの評価等。
(a)および(b)で言及されている方法と手順の適切さを示す根拠。
Annex I1のSection 4で言及されている臨床評価報告書およびSection 3で言及されているリスクマネジメントの関連する箇所への参照。
PMCFが意図している具体的な目的。
同等又は類似の機器に関連する臨床データの評価。
製造者が使用した関連するCSおよび整合規格、ならびにPMCFに関する関係するガイダンスへの参照。
製造業者が実施する PMCF 活動(PMCF データの解析及び報告等)の詳細かつ妥当なタイムスケジュール。
これは最低限要求されている項目です。PMCF計画は通常に使用する場合の安全性と性能に関してリアルワールドエビデンス(RWE)を取得するために設計すべきものです。PMCFは長期にわたるデータ収集であり、製品の耐用年数を通じた安全性と性能に関してエビデンスを構築するものです。
PMCF計画は、選択した活動、つまり、評価したいデータをどのように取得するかに関して明確な妥当性とともに詳細に記述する必要があります。貴社の製品に関連するものは何でしょうか?
MDCG 2020-7にあるPMCF計画テンプレートをご活用ください。
MDCG 2020-8 には、報告書のガイダンスとテンプレートがあります。
PMCF報告書は、以下の点を押さえておく必要があります:
CER(臨床評価報告書)を更新する際に、このPMCF報告書を忘れずに考慮に入れることが不可欠です。PMCFサイクルの結論をレビューする際に、考慮すべき点はいくつもあります。
IFUの更新が必要なのか。
リスクマネジメントファイルの見直しが必要か。
ラベル表示の修正は必要ないのか。
使用に関する適応に変更は必要ないのか。
禁忌に関して修正は必要ないのか。
正式な是正措置が必要か。
製品の設計や製造工程に変更が必要か。
PMCF報告書は技術文書ですので、明確に記述し、製品の安全性と性能に焦点を当てて科学的にしっかりとした結論を説明するものでなければなりません。この文書は生きた文書であり、更新が必要であるとともに慎重に検討する必要があるものです。
よく起こることですが、データにギャップがある場合、あるいは特定の分野に関して、実証不足がある場合、そのギャップや実証不足に関してレビューをし評価を行う必要があります。実証して結論の一部とすべきものです。ですから、重大なギャップがある場合は、さらなる活動を検討して、(必要な場合は)ノーティファイドボディと合意する必要があります。小さなギャップの場合は、妥当とみなされるかもしれませんが、今後に向けて、緩和措置を講じる必要があります。各状況によって異なりますので、明確な妥当性のある決定を行い、文書化する必要があります。
新しい欧州規則の下で、ノーティファイドボディ(NB)による審査が大幅に厳しくなりました。PMCF計画とデータをNBが審査する主な時期は以下のとおりです:
初回の適合性評価
重要な変更を提出した際の審査
再認証
SSCPまたはPSURの審査
定期審査ー例:クラスIIIおよび埋込型製品については毎年
当局もデータの提出を要求する権限を持っていることを忘れないでください。PMCF計画に記載されているとおりに提出できる状態にしておく必要があります。
ここに記載したのは全リストではありません。レビューをすべき重要ポイントです。PMCFは製品のライフサイクル(耐用年数)を通じて、一貫したレビューを行ない、安全性と性能を実証することを目的としたものです。
これは単なるチェックボックスではありません。製品に関するデータを蓄積し、製品が引き続き性能を発揮すること、また、ベネフィット・リスク比が引き続き許容範囲内にあること、リスクが可能な限り軽減されていることを保証するための重要な機能です。
関連するガイダンス:
MDCG 2020-7 PMCF計画テンプレート。製造業者及びノーティファイドボディのためのガイド
MDCG 2020-8 PMCF評価報告書。製造業者及びノーティファイドボディのための手引き
MDCG 2021-6 治験に関するQ&A
MEDDEV 2.12/2 – 市販後臨床フォローアップ試験
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